オイスタークォーツの歴史

ロレックス社のモデルについて説明する前にまずはクォーツ時計の歴史からご紹介しましょう。1970年代初頭に日本のセイコーが始めてのクォーツモデルを発表しました。改良されるたびに上がる精度や機能、そして下がる価格がスイス高級機械式時計を圧倒しました。所謂クォーツショックと呼ばれるものです。それに対抗したスイス時計界は共同でベータ21と名づけられたクォーツムーブメントを開発しました。これを各社で採用することで開発費を減らし、日本製クォーツに対抗しようとしました。

ロレックスに関してもクォーツは初めての試みということもあり、共同開発されたクォーツムーブメントであるベータ21を搭載した試作モデルを作成しました。ベータクォーツ(REF.5100)と呼ばれ幻の一本として有名なモデルです。

しかしこのベータクォーツはイエローとホワイトゴールドの無垢モデルしか発売されませんでした。クォーツ初号機ですからコンセプトモデルのような立ち位置だったのかもしれませんね。ほんの数年の間に1000本だけ製造された、しかも高額のためかあまり玉数のないモデル、ベータクォーツとはそんなモデルでした。


Ref.5100ベータクォーツ

当時は話題になったのでしょうね。ロレックス社初のサファイアクリスタルガラスも採用して、まさに夢のクォーツ初号機!と いった趣だったでしょう。


Ref.17000

さてベータクォーツを経て自社クォーツムーブメントの開発に成功したロレックスは自社生産パーツのみで構成された新モデルを1972年に発表し、1977年に発売しました。デザインを今までのものから一新するために、故ジェラルド=ジェンタ氏にケースデザインを依頼、この独特なデザインを完成させたと言われています。その独創的なデザインはフラッシュフィットを使用しないもので、ケースとベルトの一体感、エッジと曲面で構成されたケースなどが特徴です。他社のモデルですがAPのロイヤルオークやIWCインジュニアなどにも似通ったデザインです。

※ 後にジェラルドジェンタ氏が雑誌のインタビューで否定したと聞いています。


Ref.17014G

ロレックス社はその後も増産を続け、一時期にはクォーツの生産数だけで全生産数の10%に及んだそうです。その後クォーツブームは去りましたが、ロレックス社はクォーツ式の製造を2001年まで続けました。スイス公式クロノメーター検査協会の記録から、ロレックスに対してクォーツ用ムーブメントの証明書を2001年まで発行していることが分かっています。生産数は全部で25,000本にも及びました。

さらにロレックス社はCal.5035を使用したデイトジャストモデルを2001年まで、Cal.5055使用したデイデイトモデルを2003年まで出荷しました。これはカタログへの掲載状況から見ても明らかです。もちろん正規店での販売は在庫がなくなるまで行われますの で、末端のユーザーへの販売はその後数年間は行われたと思われます。

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